テントと寝袋。
屋久島へ一人旅。
空も水も緑も全てが濃い。
山三昧の旅。
早朝4時半に一人、白谷雲水渓。
まだあたりは真っ暗で、ヘッドライトを頼りに山の中へ。
真っ暗な山はよそよそしくて、まるで結界が張り巡らされているみたい。
朝方の山は不思議な音がたくさんした。
天狗か山伏が吹くほら貝のような、笛のような音。
大きくなって、小さくなって、高くなって、低くなって。
とても不思議なメロディーで鳴り響いてた。
山の中で迎える朝。
とても特別な朝のように感じたけど、ここでは毎日繰り返されている、いつもの朝。
わたしの知らないところで毎日この朝は迎えられていると思うと、
少したまらない気持ちになった。
それでも、ぼんやりしていた世界の輪郭がはっきりしてくると、
とてもすがすがしい気分になった。
よそよそしかった山が開けて、おはようって言ってきた。
そのおはようは、わたしの体の隅々まで行き渡って
勝手にこの山の一部になれた気がした。
おはよう。
そして感謝。